2019年6月12日水曜日

House of Tapes's new album 'Colorful Life' / Album review by Yuji Koide (HUSH)

House of Tapes

『Colorful Life』PFCD88
¥2200+税
発売元 PROGRESSIVE FOrM

TOWER RECORDS、Amazonなどで取り扱い中。

曲目リスト
1. Easter
2. All The Light
3. Wonder Word
4. Rose
5. Colors Plan
6. Clear Sky
7. Funeral
8. Emerald
9. Glitter
10. Moment
11. All the Light - kondo tomohiro(HUSH) Remix
12. Emerald - nabatea Remix
13. Moment - Super Magic Hats Remix
14. Starlight - AKR-FITW Remix

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【小出雄司(HUSH)による『Colorful Life』アルバムレビュー】

House Of Tapesがリリース毎に、
注目を浴びる様子を俯瞰で眺めるたびに思う。
リスナーは彼のことをどのようにイメージしているのだろう。
音の波に浮かぶ彼の姿はミステリアスに映る。
あながち間違いではないように思う。
長い付き合いになる彼と会う回数を重ねても変わらないものは、
こちらの表情を窺っているような様子。
胸の内に秘めた熱い想い。
そして、どちらかと言えば寡黙。
簡潔に言えば、僕にとって彼はそういう印象だ。

しかし音楽はそうではない。まったくの逆だ。
窺う様子などなく、当然そこに遠慮も感じられない。
自由。カタルシス。感性の赴くまま。
二度と同じ曲は作れないだろうと感じさせるほどに。
そして、驚くほどに饒舌だ。
彼はHouse Of Tapes名義の音楽を通じて、
もうひとつの人格を形成していると言ってもきっと乱暴ではない。

『Colorful Life』はそんな彼が作る桃源郷。
The Bright Side Of The Moon。
意図的に煌びやかな音色が選ばれていて、
一般リスナーに届きやすくなっている。
「All The Light」「Colors Plan」「Clear Sky」「Emerald」「Glitter」
曲名を並べるだけでも、言いたいことは伝わるのではないかと思う。
そして全曲が3分台に収められていることから、
ポップな側面を打ち出している。
元から彼にその一面はなかった、という訳ではないが、
キャリアを重ねるにつれ、振り切れる幅が大きくなっているのを感じる。
この流れで期待したいのは、HOT流のポップスの金字塔。
つまりは歌モノ。
使用してる機材を変えることなく、
聴かせどころを意図的に歌に移行させた楽曲。
彼はリリース毎に進化をしているし、挑戦も怠らない。
よって誤解を恐れずに言えば、今作も彼にとって進化の途中だ。
それまでにかなりの楽曲を形態問わずリリースしているので、
過去を踏まえながら、今作で今後の音楽性の行く末を想像してみてみるのも面白い。
到達を迎えたら、きっと彼は真逆のアプローチをしてくるに違いない。
反動で歌モノ楽曲を嘲笑するようなカオティックなリミックスを期待したい。
...少し話が『Colorful Life』から離れてしまった。
自分が良いと思うものが一辺倒ではないこと、
コンセプトを立てるかの如く消化して、色を残したまま吐露できること、
それを重ねてキャリアを築いていくのは彼の評価されてほしいところである。

今作の最後には収録曲のリミックスが4曲追加収録されている。
そこに僕のバンドメンバーも参加していることに一応触れておこう。
この場を借りてHouse Of Tapes氏にメッセージを伝えたい。
「いやぁ久野さん、近藤君のリミックスも良いけど、僕とも何かやりましょうよ。
機材持ってきて僕の家で曲作りませんか?なんなら車で迎えに行きますよ。」
文・小出雄司(HUSH)

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